外国人技能実習生入国緩和の兆し
先日、日本政府が、新型コロナウイルスによる感染防止策として実施している入国制限の緩和を検討していると報じられました。
タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの4か国を第1弾とする方向で調整しているとの内容でした。
現在、全世界を対象とした入国制限の期限が6月末までとなっており、緩和の実施は夏以降になるとみられます。検討されている4か国はいずれも新型コロナウィルスによる感染が落ち着きを見せており、ビジネス関係者から入国制限の緩和を望む声が非常に高まっていたのです。
関係者の話では入国制限緩和の第1弾としては経済界からの最も要望の強いベトナムを予定しており、ビジネス関係者や技能実習生らに限り、入国を認める方向で最終的な調整に入っているということです。しかし、これには一定の条件が課せられており、PCR検査の実施、入国時に上陸空港内での検査の実施、滞在先の計画の提出などを実施する方針としています。
入国可能人数に関しては、一部メディアで最大250人と報じられています。ただ、上記4か国からの合計人数が250人なのか、または1か国の合計人数が250人なのかは現在のところ不明となっています。仮に1か国の合計人数が250人だとして、夏以降に入国制限が緩和されたとしても、待機している技能実習生が約30,000人程存在していると推定されていますので、待機者全員が入国するまでは相当程度の時間が必要とされる見込みになります。現在、日本の新規感染者数は以前より落ち着きを見せているので、入国可能人数については、徐々に拡大していくとは考えられますので、
監理団体へは、ビザ申請、フライト手続き、入国後の移動、入国後講習施設の確保など多人数に対しての適切な対応が求められることとなるでしょう。
日本の労働力不足の課題
日本の法律上、技能実習生は「労働者」ではなく「技能実習生」という特別な位置づけになっています。理由としては、技能実習制度というものは、日本の先進国としての技術や知識等を開発途上国等への伝え、経済発展を担う「人づくり」に協力することが本来の目的とされているからです。
しかし、多数のメディアでは、政府の新型コロナ水際対策により、技能実習生が入国できないことで市場の労働力が不足し、各産業分野が「更なる深刻な人手不足に陥っている」などと大々的に報じられています。これにより、外国人技能実習制度は、従前より様々な企業・分野から注目を浴びるかたちになりますが、上記で述べた通り、外国人技能実習生は、あくまでも「労働者」ではなく「技能実習生」という位置付けであることは留意すべきです。それほど、現在の日本の産業分野における外国人技能実習生の存在は、計り知れないほど大きくなっているのです。
このコロナ禍により、私たちは外国人技能実習制度に対して従前による認識を改める必要があると再確認をさせられるとともに、改めて現在の日本の深刻な労働力不足の問題点が浮き彫りになったのではないでしょうか?
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