日本人の配偶者等ビザのメリットを解説
日本人の配偶者ビザのメリットとして、このような点が挙げられます。
・就労の制限がない
・大学や専門学校に通うことができる
・永住権の取得がしやすくなる
就労の制限がない
就労に関しては特段、制限はありません。就労の制限とは、職種や雇用形態や就労の時間に制限がないということです。
つまり、自由にどんな仕事もできますし、ライフステージに合わせて働き方を変えることもできます。
就労制限がないということは、職種・雇用形態・就労時間のすべてにおいて自由に決められるということです。就労ビザのように、学歴によって就ける職種が決まっていることもないので、コンビニのレジ打ちや、工場勤務なども可能です。パートに出ることも、正社員として働くことも、経営者になることもできます。もちろん、働かなくても構いませんので、ライフステージによって働き方を変えることも可能です。
雇用側としても、就労ビザのように「ビザの該当性があるのか?」と悩むことなく雇うことができるというメリットもあります。
配偶者ビザには就労の制限がありません。そのため、自分がやりたいと思う仕事をすることができますし、アルバイト・パートなどの仕事も可能というメリットがあります。
一方、就労ビザの場合はビザの種類によって就労できる職種が限定されていたり、パートなどで働くことが難しかったりします。
就労系のビザと異なり就労制限がないのが大きな特徴で、正社員・アルバイト・自営を問わず、どんな種類の仕事にも就くことができます。その点、就労ビザよりも日本国内でできることの幅は広がります。
大学や専門学校に通うことができる
配偶者ビザの場合、大学や専門学校に通うことができます。就労ビザだと、働くことはできても大学等に通うことはできません。ビザの目的が異なってくるからです。そのため、就労ビザの人が大学等に通う場合は留学ビザに変更しなければなりません。
現在、就労ビザを持っていて配偶者ビザに変更するか悩んでいる方は配偶者ビザに変更しておくほうがメリットが多いのでおすすめです。
永住権の取得がしやすくなる
日本人または永住者の方と結婚をしていると、通常の外国人の方より、永住権取得の為の要件が緩和されます。
就労ビザを持つ外国人が永住申請するには、原則として10年以上の日本滞在が必要です(※一部例外あり)。しかし日本人の配偶者であれば、実体を伴った婚姻生活を3年以上継続し、なおかつ日本に1年以上在留していれば永住申請の居住要件を満たします。
例えば「日本人の配偶者等」の在留資格ではなく、就労系の「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で日本に在留している場合であっても、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留しているのであれば、永住権取得のための当該要件は満たしているということになります。
配偶者ビザ取得の条件
日本人と結婚して日本人の配偶者として日本で生活する外国人を対象としておりますが、この場合に配偶者ビザを取得していくためには、大前提として、単に手続き上の婚姻を終えているだけでなく、婚姻の実態が存在しうることが条件です。
まず前提として、婚姻手続きが完了していることがビザ申請の最低限の条件となります。申請者が婚約者である場合や、事実婚の場合は配偶者ビザを取得することはできません。また、現在のところ日本の法律では同性婚が認められていないため、海外で同性婚をした場合も配偶者ビザを取得することはできません。
婚姻手続きは、原則として日本と相手国の双方で完了させる必要があります。ただし、アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリアのように、日本で婚姻が成立していれば自動的に相手国内でも婚姻の効力が発生する国もあります。これらの国の人と結婚する場合は、日本で婚姻手続きが完了していれば大丈夫です。
もうひとつの重要なポイントは、生計を立てていけるだけの経済的基盤があるかどうかです。夫婦が安定的・継続的に日本で暮らしていくことができず、すぐに社会保障に頼ることになるようでは、日本国にとって不利益になるからです。
生計要件の審査では、夫婦の収入や資産、親族による援助の有無、就職先の見通しなど、さまざまな要素が考慮されます。そのなかで特に重視されるのが夫婦の収入です。
収入の額は、基本的に直近1年分の住民税の課税証明書によって判断されます。「〇〇万円以上」という明確な基準が決まっているわけではありませんが、日本で安定的・継続的に生活していけるだけの収入があることが求められます。
審査で重要なことは、結婚の信ぴょう性を証明すること、日本で生計を維持していくことができることを証明すること、過去の素行です。
自分で申請することに不安がある方や最短で配偶者ビザを取得したいと考えている方は専門家に相談するようにしましょう。
@結婚の信ぴょう性
偽装結婚や悪徳のブローカーが介在した結婚を防止する為、配偶者ビザの申請において結婚の信ぴょう性というのが非常に重要なポイントとなります。私たちの結婚は偽装結婚ではなく、正真正銘の結婚であることの立証責任は申請者本人にあります。出会った経緯から付き合うまで、そして結婚に至るまでの経緯を詳細に文書に記載していく必要があります。またそれを裏付ける写真や通話記録の提出も必要となります。
よくある不許可パターン(結婚の信ぴょう性)
交際期間が短い、実際に会った回数が少ない
年齢差が大きい
日本人配偶者側が外国人との離婚を繰り返している
出会い系サイトやSNS等で知り合う
A日本で生計を維持することができるか
外国人配偶者との日本で生活をしていく上で、経済的観点から安定・継続的に生活できることを立証する必要があります。尚、入国管理局は「課税証明書」に記載されている給与収入を見て、申請者の収入を判断します。個人事業主の方で確定申告をしていない又は会社経営者の方で役員報酬をゼロにしてたり、極端に少なくしている方は課税証明書に収入が反映されませんので注意が必要です。
収入が少ない方は、現在の資産、就職活動の状況、両親からの援助、様々な方面から検討し、お金の面で問題がないことを説明し、それを裏付ける資料を添付していくことが必要です。
B過去の素行や在留状況
外国人配偶者側の過去の素行や在留状況も審査のポイントとなります。過去の犯罪歴や不法就労等がある場合注意が必要です。
配偶者ビザ取得のための必要書類
配偶者ビザの必要書類リスト
日本人の配偶者等の在留資格申請にあたって必要な書類をご説明します。
@海外に配偶者がいて日本に呼ぶ場合とA既に日本に在留している外国人との結婚では必要書類が異なります。下記にてそれぞれのパターンでの必要書類をご紹介します。
海外から配偶者を呼ぶ場合(日本人の配偶者等)
【共通書類】
・在留資格認定証明書交付申請書(下記URLからダウンロードできます)
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/16-1-1.html
・質問書
・身元保証書
・392円切手を貼付して返信用封筒
【外国人配偶者に関する書類】
・証明写真(4cm×3cm)
・パスポートのコピー
・履歴書
・卒業証明書
・日本語能力を証明する書類
*日本語能力認定書等(あれば)
・本国で発行された結婚証明書+翻訳文
【日本人配偶者に関する書類】
・戸籍謄本(婚姻の記載のあるもの)
・住民票
・直近年度の住民税の課税証明書
・直近年度の住民税の納税証明書
・勤務先から発行された在職証明書
・勤務先の会社案内(HPのコピー等)
【住居に関する書類】
・同居予定の不動産の賃貸借契約書
(不動産を所持していれば登記事項証明書)
・同居予定の不動産の写真
【その他】
・スナップ写真5枚以上
友人、双方の両親、結婚式、旅行に行った際に撮影した写真等
・メールやLINEのやり取り(10枚以上)
交際の経歴や、申請人の経歴によっては上記以外の書類が必要になる場合があります。
日本に在留する外国人と結婚した場合(日本人の配偶者等)
【共通書類】
・在留資格変更許可申請書(下記URLからダウンロードできます)
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/16-2-1.html
・質問書
・身元保証書
・返信用のハガキ
【外国人配偶者に関する書類】
・証明写真(4cm×3cm)
・パスポート(原本提示)
・在留カード(原本提示)
・履歴書
・卒業証明書
・日本語能力を証明する書類
*日本語能力認定書等(あれば)
・本国で発行された結婚証明書+翻訳文
・直近年度の住民税の課税証明書・納税証明書
*日本で働いている場合
【日本人配偶者に関する書類】
・戸籍謄本(婚姻の記載のあるもの)
・住民票
・直近年度の住民税の課税証明書
・直近年度の住民税の納税証明書
・勤務先から発行された在職証明書
・勤務先の会社案内(HPのコピー等)
【住居に関する書類】
・同居中又は予定の不動産の賃貸借契約書
不動産を所持していれば登記事項証明書
・同居中又は予定の不動産の写真
【その他】
・スナップ写真5枚以上
友人、双方の両親、結婚式、旅行に行った際に撮影した写真等
・メールやLINEのやり取り(10枚以上)
交際の経歴や、申請人の経歴によっては上記以外の書類が必要になる場合があります。
日本で婚姻手続きが完了していることを示す書類は、婚姻の事実が記載されている戸籍謄本(全部事項証明書)です。戸籍謄本に相手の氏名や婚姻日が記載されていない場合は、別途、婚姻届出受理証明書の提出が必要になりますので、提出前に必ずチェックしてください。
相手国の婚姻手続きが完了していることを証明する書類は、相手国の機関から発行された結婚証明書です。結婚証明書には日本語訳も付けましょう。
@交際期間が極端に短い
?相手と会った回数が少ない
?年齢差が15歳以上ある
Cお互いに相手の言語をほとんど話せない
もしこうしたケースに該当する場合は、二人が一緒に写っている写真や、SNSの記録、ビデオ通話の記録など、夫婦間の交流が確認できる資料をできる限り多く集めて提出し、偽装結婚でないことを立証する必要があります。
配偶者ビザ取得の手続きと期間
配偶者ビザの申請方法は、配偶者が日本にいる場合と海外にいる場合で異なります。
配偶者が日本にいる場合
外国人配偶者がすでに日本に在住している場合は、現在の在留資格(たとえば「留学」や「技術・人文知識・国際業務」など)から「日本人の配偶者等」に在留資格を変更することになります。そのため、出入国在留管理局に「在留資格変更許可申請」を行います。
ちなみに、日本人と結婚をしたからといって、必ずしも配偶者ビザに切り替えないといけないわけではありません。現在の在留資格の該当性が失われていなければ、そのままの在留資格で滞在を続けることもできます。たとえば就労ビザを持ち会社員として働く外国人が、結婚後も同じ会社に勤務し続ける場合などがこれに該当します。
海外にいる外国人配偶者を日本に呼び寄せる場合は、出入国在留管理局に「在留資格認定証明書交付申請」を行うことになります。なお申請は、日本人配偶者が住んでいる地域(※夫婦二人とも海外在住の場合は、代わりに申請を行う親族が住んでいる地域)を管轄する出入国在留管理局に行います。
在留資格認定証明書(COE=Certificate of Eligibility)は電子化されており、メールの形式で発行されます。COEが発行されたら、外国人配偶者本人が海外にある日本の在外公館でCOEを提示し、査証の発給を受けます。
配偶者ビザの審査には1〜3か月ほどかかります。申請のための書類収集に必要な期間も含めて、トータルでは最短でも2か月、長くて4〜5か月程度はみておいたほうがよいでしょう。たとえば子供を日本の学校に通わせたい場合など、入国希望時期が決まっている場合は特に要注意です。時間に余裕をもって、早めに申請するようにしましょう。
なお、COEは発行後3か月以内に日本に入国しなければ有効期限が切れてしまいます。こちらも合わせてご注意ください。
配偶者ビザ取得に関する手続きは行政書士までご相談ください
配偶者ビザの申請にあたっては、しっかり審査のポイントを押さえて、申請することが重要です。配偶者ビザの審査は、偽装結婚防止等の観点から年々厳しくなっている印象を受けます。ですので、配偶者ビザ申請にご不安な点があれば、まずはビザ申請に関して専門性の高い行政書士にご相談することを推奨いたします。